建設業で「特定技能」外国人を雇用する方法

建設業で「特定技能」外国人を雇用する方法

今回は、他の分野と少し異なる「建設業」の特定技能外国人の受け入れ方法や費用についてまとめました。
 
在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく制度です。

建設業は他の分野に比べどのようなステップが必要なのでしょうか。

特定技能外国人が特定技能で働ける職種


建設業といってもその幅は広く様々な職種があることはご存知かと思います。

その中で特定技能として受け入れ可能な職種は、

型枠施工

左官


コンクリート圧送


建設機械施工

屋根ふき

鉄筋施工

鉄筋継手

内装仕上げ

表装

とび

建築大工

配管

建築板金

保温保冷

吹付ウレタン断熱

海洋土木工

トンネル推進工

土工

電気通信

の全19種になります。(2021年8月現在)

青字で書いてある職種は、技能実習から移行可能な職種

赤字で書いてある職種は、特定技能において新たに設ける職種 

になります。


また、技能実習では受け入れ可能であるが特定技能に移行できない職種があります。

さく井

冷凍空気調和機器施工

建具製作

石材施工

タイル張り

サッシ施工

防水施工

ウェルポイント施工

築炉

以上の9職種です。


今後受け入れができる可能性はありますが現段階では移行不可です。

在留期限


特定技能1号の在留期限は通算5年、家族の帯同は不可。

特定技能1号として5年間の就労後、「建設」と「造船・船舶工業」分野については、次の条件を満たせば2号へと移行が可能となります。


班長として一定の実務経験+「建設分野特定技能2号評価試験」又は「技能検定1級」に合格。



特定技能2号に移行すれば在留期間の更新に上限なし+家族の帯同が可能となります。

 

 

働くまでの流れ


特定技能1号を取得するには大きく分けて2つ、①技能・日本語評価試験を合格するまたは②技能実習からの切り替えのパターンがあります。

①技能・日本語評価試験を合格する

・技能評価試験
「技能検定3級」または「建設分野特定技能1号評価試験」

・日本語能力試験
「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(N4)」

 の両方に合格しなければなりません。


②技能実習からの切り替え

技能実習2号または3号を良好に修了したものは①と同等以上の能力と認められるため、特定技能への移行が可能です。

※技能実習以外にも特定活動〈外国人建設就労者受入事業〉の在留資格からの切り替えも可能です。

 

建設業分野独自の仕組み


特定技能外国人を雇用したい企業は「全分野共通の基準」を満たすと同時に「建設業独自の基準」も満たす必要があります。

1⃣一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入(直接)、または正会員である
 建設業者団体への加入(間接) 
 技能実習制度では監理団体や外国人技能実習機構が適正に実習を行えているか監
 理する体制でありましたが、特定技能ではJACがその役目を担います。その他に
 も人材の紹介や転職支援を行う機関です。
 

2⃣建設キャリアアップシステムの登録(事業者と特定技能外国人)


3⃣建設業許可の取得


4⃣月給制での賃金の支払い

※建設業分野では雇用人数の制限があり、特定技能と特定活動で就労する外国人の合計が、受け入れ企業の常勤の職員の総数を越えないこととされています。

採用費用


特定技能外国人の賃金の最低条件は、日本人と同等以上とされています。

企業の賃金規程や、キャリアが同等の日本人従業員の賃金、地域水準に基づいて判断します。
また日本人に支給される諸手当(家族手当や皆勤手当)や福利厚生も特定技能外国人に支給する必要があります。
その他にも在留資格変更費用と支援委託費用(登録支援機関に支援を委託する場合)が必要になります。

更に建設業分野ではJACへの年会費や受入負担金が発生します。
JACへ間接的に入会する場合、JACの年会費は無料ですが建設業者団体の会費が発生します。(JAC正会員の建設業者団体は沢山あるのでコストを抑えることができる団体への入会をオススメします。)

こちらはJACの受け入れ負担金です。

 (国土交通省「建設分野における特定技能外国人制度の概要」参照)

 

さいごに


建設業分野の特定技能外国人は費用面を見ると他の分野より割高になります。

海外から新規の特定技能外国人を雇用する場合、企業によっては日本人よりコストがかかるケースも見受けられます。
技能実習2号または3号修了者を特定技能に変更する場合は、新規の技能実習生の受け入れをするより初期費用を抑えることが可能です。

個人的な意見としては、人件費を抑えてじっくり人材を育てたい場合、新規の技能実習生を受け入れ、しっかり実習を3号まで行った後、特定技能を目指すことをオススメします。また人件費を多めに支払ってでもより人材を集めたい場合、日本の生活や文化、言語に理解がある特定技能外国人を国内から採用することをオススメします。

注意すべき点は特定技能制度では自由に転職が可能なので、特定技能外国人を定着させるため、給与面だけでなく労働環境や生活環境にも力を入れる必要があります。

外国人材についてお気軽にご相談ください

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