技能実習制度や特定技能制度を活用する時、どこの国の人を受け入れしたらいいのか迷いますよね。
筆者はフィリピン人の採用をおススメしています。
今回はなぜフィリピンをオススメするのかについてまとめました。
フィリピン国の特徴
まずはフィリピン国について見て行きましょう。
人口について
従業員を雇用する際は、なるべく若くやる気のある人材が好ましいですよね。
フィリピンの人口は約1億人で増加傾向にあります。
若年層の人口が多く、フィリピン人の平均年齢は24.3歳です。(ちなみにほぼ同じ人口である日本は46.7歳です。)
平均賃金
フィリピン人の平均月収は約2万円です。首都のマニラの場合でも約3万円となっています。国内の経済が発展してきてはいますが平均月収の推移は10年間でほとんど変わっていません。
よって海外で働いた時のメリットが大きい分、やる気に満ち溢れています。
技能実習生の人口が多い中国やベトナムは、年々母国の平均賃金が上昇傾向であるため日本に出稼ぎにきても旨味が少ない現状になってきています。(中国からの技能実習生は減少傾向にあります。)
語学力
フィリピンは特定技能や技能実習制度で受け入れすることができる国の中で唯一英語が公用語の国です。
フィリピンは多くの島々で構成された国であり、島ごとに話す言語が違ってきます。例えば首都マニラはタガログ語、セブ島はビサイヤ語のように同じ国同士でもコミュニケーションが取れません。そのため公用語として英語を身に着けています。
他国では日本人が普段何気ない会話で使う英単語を理解できない人も多く、ベトナムなどから受け入れをした企業の従業員さんは驚かれます。
また、会社の張り紙や看板等も英語以外の表記を付け加えたりと手間がかかる場合があります。
世界最大の労働力輸出国
フィリピンは国民の10人に1人が海外で働いています。
海外からの送金が国内総生産(GDP)の約1割に相当しており、フィリピン国内の消費市場を活性化させているかなり稀な特性を持っている国です。
国としても海外労働者は重要な役割を果たしているので、充実したサポートを行っています。
中でも日本は、出稼ぎに行くための手数料がほとんどかからない、治安が良い、給料が高い、日本で学んだ技術が他国でも評価されるといったメリットが多く人気があります。
圧倒的にトラブルが少ないフィリピン人
下の表は平成29年度の技能実習生の失踪数を表しています。
あまり知られていませんが筆者が最もフィリピン人をおススメするポイントは失踪者(犯罪者)が他国と比べ圧倒的に少ない点です。
少ない理由は、技能実習生本人に借金を背負わせることが禁止とされていることにあります。この借金が技能実習生の失踪へと繋がり社会問題となっています。
上記でもありますが、フィリピンは国が海外労働者を守っており、入国申請の際はPOEA(フィリピン海外雇用庁)に様々な書類を提出する必要があり、審査時の技能実習生の給与も地方だと最低賃金では厳しくなってきています。
このような事情からフィリピン人技能実習生は失踪や犯罪を犯すよりも、きちんと実習を行った方がメリット得ることができます。
失踪率が多い国を例に挙げると、技能実習生は不正な手数料や保証金などを支払わなけば来日できないスキームがあります。きちんとルールを守っている機関も多いですが、フィリピンと比べるとマイナスからのスタートになってしまいます。
失踪の主な理由の7割は「低賃金」です。低賃金でもないはずなのに失踪されてしまった経験のある企業は今一度、来日時の借金がどのくらいあるのか技能実習生に確認したほうが良いと思います。中には傲慢な技能実習生の失踪もあると思いますが、多くのケースが在留期間内に借金の返済が不可能であったり、実習で得る収入が母国の給与と変わらない場合です。
申請にコストと時間がかかる
前述したようにフィリピンではPOEAの申請が必要であり、採用活動を始める前に現地の送出し機関と契約を交わし採用許可を得なければなりません。
また受け入れ企業が適切に技能実習を行えるかどうかの確認もあります。
どれだけスムーズに申請を進めても他国より時間と費用がかかります。
技能実習生は内定後に日本語学校へと通うので、在留許可申請が早すぎると返ってよくありません。フィリピンの場合、求人を始めて入国まで4~6ヵ月程度の時間を要します。
さいごに
今回はフィリピン人雇用についてまとめました。
英語も話せてやる気もありクリーンに受け入れできるフィリピン人ですが、技能実習生の全体の約10%の人数しかいません。
そもそもフィリピン人を取り扱っている団体も少ないです。
その背景にはフィリピン以外だと、申請の手間が少なかったり、最悪のケースは現地送出し機関からキックバックをもらっている受け入れ機関があったりします。(もちろんキックバックの費用も技能実習生から徴収しています。)
受け入れ企業が負担する費用もフィリピンが1番高かったり、企業がなるべく費用を抑えて技能実習を行いたいといった部分もあるので、監理事業を運営しにくい点も挙げられます。
国によって文化や風習もちろん異なりますし、どの国にも良い人もいれば悪い人もいるので決してこの国が良いと言い切ることはできませんが、技能実習制度の状況は国や送り出し機関、受け入れ機関によって大きく違うのでよく把握するべきです。