今回は意外と身近にある技能実習の認定取り消しについて詳しく解説していきます。
自分の会社はきちんとルールに沿って実習を行っていると思っていると、いざ外国人技能実習機構の監査が入った時に痛い目を見るかもしれません。
もちろん企業だけでなく監理団体にも不正があった場合、許可の取り消しになります。
受け入れを考えている企業も参考になると思うので、是非ご覧ください。
認定の取消し
外国人技能実習機構のホームページには、認定を取り消しされた実習実施機関の 「会社名」「代表者名」「取り消し理由」などがまとめられています。
たったの3年間で約250社が認定の取り消し処分を受けています。
ここには、誰もが1度は聞いたことがある会社も乗っていたりします。
これだけ多くの会社が認定取り消しになると、実習を中断した実習生の人数はかなり多くなります。
こちらが機構が作成したリストになります。
取り消しで多い事案
ここではどのようなケースで認定の取り消しになるのか紹介していきます。
労働基準法違反
・法定労働時間を超えた労働
・有給休暇が取得できない
・割増賃金を支払っていない
・36協定の締結・届出をせず違法な時間外労働をさせた
※割増賃金に関しては、きっちり支払っているつもりが計算方法が違っていたというケースが非常に多いです。気をつけましょう。
労働安全法違反
・労災隠し
賃金未払い
計画認定に従っていない
技能実習を行う際は、実習計画を作成しそれを元に実習を行いますが、それとはまったく違う作業を行った場合は認定取り消しとなります。実習計画には必ず行わなければならない必須項目があります。
人権侵害
帳簿類の虚偽申告
以上のようなケースが認定の取り消しに繋がります。
取り消しになって当たり前なケースもありますが、会社によっては真剣に技能実習と向き合っていたにも関わらず認定の取り消しになってしまったケースもあります。
技能実習は日本人雇用よりも厳しく監査・処分されます。
日本人従業員も同じだからという理由で、違反を改善しないままにしないようにしましょう。
認定が取り消しになった場合のペナルティ
万が一、認定が取り消しになった場合どのような罰則が科せられるのでしょうか。
技能実習の中止
例えば複数の技能実習生を受け入れている企業で、1人だけ技能実習計画と異なった業務を行い認定が取り消しになった場合、その技能実習生だけでなく在籍しているすべての技能実習生が働くことができなくなります。
その後、監理団体は技能実習生が引き続き実習を希望する場合、転籍先の企業を探す必要があります。しかしながら次の受け入れ先が見つからず、多くの技能実習生が強制帰国せざるをえない現状があります。
一定期間の受け入れ停止
認定を取り消された企業は、向こう5年間技能実習生の受け入れを行う事が出来ません。
これは、技能実習生だけでなく特定技能外国人も同様です。
さいごに
今回は技能実習の認定取り消しについてまとめました。
少し変わった取り消しの事例として、企業の役員が相続税法違反の事実で懲役1年の実刑判決を受けたことにより技能実習を行えなくなった事例が過去にあります。
これは技能実習法第10条の1号「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者」と第10条の11号「法人であって、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの」は認定を受けることができないという部分に触れた事案です。
技能実習からほど遠いところからの認定の取り消しも十分あり得ることが分かると思います。
技能実習計画をしっかりと守ることを前提に、法令を遵守することをより徹底し、労務管理を見直すなど、認定取り消し処分に至らないように対処できる体制を構築しておくことが重要になります。