今回は「自動車整備業」での特定技能外国人の受け入れ方法や費用についてまとめました。
在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく制度です。
これまでの自動車整備業
自動車整備業分野ではこれまで人手不足解決のため様々な対策を行っています。
生産性向上のための取組として、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定、故障箇所の効率的な特定に必要な「外部故障診断装置」(スキャンツール)の導入補助等に取り組んでいるところ、スキャンツール導入支援を適用した台数の着実な増加等の成果を挙げています。
国内人材の確保に関しては、若者・女性の就業促進のため、運輸支局長等による高等学校訪問、自動車整備士のPRポスターや動画の作成、インターネットを活用した情報発信、自動車整備工場の経営者に対する人材確保セミナーの開催等に取り組んでいます。
しかしながら自動車整備分野における労働力需要は、自動車の保有台数が、当面の間ほぼ横ばいで推移し、その点検整備の需要が減少する見込みがない一方、供給においては、自動車整備士を志す若者の減少に加え、高齢の自動車整備士の引退が始まりつつあり、平成 29 年度における自動車整備分野の有効求人倍率は 3.73 倍であるなど、深刻な人手不足の状態にあります。
「特定技能」外国人ができる業務、作業について
従事する業務内容について
特定技能外国人が従事する業務は「日常点検整備」、「定期点検整備」及び「分解整備」です。
あわせて当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えないとされています。
関連業務の例として、
・整備内容の説明及び関連部品の販売
・ 部品番号検索・部内発注作業
・ 車枠車体の整備調整作業
・ ナビ・ETC等の電装品の取付作業
・ 自動車板金塗装作業
・ 洗車作業
・ 下廻り塗装作業
・ 車内清掃作業
・ 構内清掃作業
・ 部品等運搬作業
・ 設備機器等清掃作業
などが挙げられます。
就業の条件
・直接雇用
この制度でいうフルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であり、週労働時間が30時間以上であることになります。
自動車整備業で「特定技能」外国人として働くためには
自動車整備業で「特定技能」外国人として働くためには「特定技能(自動車整備業)」を取得するための次のいずれかの条件を満たさなければなりません。
〇「自動車整備」の第2号技能実習を修了する
または
〇①自動車整備分野特定技能評価試験 または 自動車整備士技能検定試験3級
技能評価試験は一般社団法人日本自動車整備復興会連合会が運営しています。
②日本語能力試験(JLPT N4以上)もしくは 国際交流基金日本語基礎テスト
(JFT-Basic)
日本語能力試験(JLPT N4)の日本語能力水準はある程度日常会話ができ、生活
に支障がない程度の日本語能力を確認するとされています。試験方法はマーク
シート方式で年に2回(7月、12月)に各都道府県で開催されています。
国際古流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)もJLPTと同水準の日本語能力を確
認するための試験です。CBT方式の試験で開催スケジュール等は独立行政法人
国際交流基金のHPより確認できます。
詳しい内容はこちらから
①、②の試験に合格する必要があります。
「特定技能」外国人を雇用する条件
1⃣自動車整備分野特定技能協議会への加入
自動車整備分野特定技能協議会は自動車整備業分野における特定技能制度の適切な運用図るために設置された機関です。
各受け入れ企業は1人目の特定技能外国人の在留資格が許可された日から4ヵ月以内に協議会へ加入する必要があります。
2⃣制度で定められた支援の実施
特定技能外国人を受け入れるには法律で定められた支援を行う体制を構築するか、支援内容の一切を「登録支援機関」に委託する必要があります。
支援内容についての詳しい記事は「特定技能外国人を雇用するための10個の支援」
登録支援機関を利用する場合、登録支援機関において自動車整備士1級又は2級の資格を有する者又は自動車整備士の養成施設において5年以上の指導に係る実務の経験を有する者が置かれていること等が求められます。
「特定技能」外国人を雇用する場合の費用
特定技能外国人の給与については同職種に従事する日本人と同等以上とされています。
加えて、在留資格申請費用や登録支援機関に支援を委託する場合には支援委託費用も発生します。
技能実習生の監理団体や士業事務所、人材会社など様々な機関が登録支援機関の登録行っており金額もバラバラな現状です。特定技能外国人の雇用が初めてであれば様々な機関で話を聞くことおすすめします。
まとめ
「自動車整備業」の「特定技能」外国人について理解できましたか?
自動車整備業の特徴は、支援を委託する登録支援機関に条件があることです。
かといって自社で支援のすべてを実施することは難しい現状もあります。
制度で定められた支援には基本的に業種ごとの専門知識は必要ありませんので、今後、自動車整備業における登録支援機関の条件が緩和される可能性もあるでしょう。