今回は技能実習生の受け入れを検討している企業で、「よくベトナムや中国を耳にするけど、それ以外にどんな国の人を実習生として受け入れできるの?」と質問を受けるのでまとめました。
技能実習生はどこの国からでも受け入れできる⁉
技能実習生を受け入れする場合、ほとんどの企業は監理団体型になると思います。
この受け入れ方には必ず、受け入れ機関(監理団体)と送出し機関が必要になります。
技能実習生の受け入れは、 送出し国政府の公的機関からの推薦状があり、要件を満たしていれば技能実習生の受け入れをすることが可能です。
この制度では、悪徳送出し機関(失踪防止のための保証金の徴収、必要以上の手数料の徴収する機関)が問題となりました。
そのため新制度になり、 日本政府と送出し国政府との間で二国間取決めを作成し、送出し機関の適格性を審査し許可を出す制度に変更となりました。
日本政府と二国間取決めを作成した国が、以下の14カ国になります。
ベトナム 、 カンボジア 、 インド 、 フィリピン 、 ラオス 、 モンゴル 、 バングラデシュ 、 スリランカ 、ミャンマー 、 ブータン 、 ウズベキスタン 、 パキスタン 、 タイ 、 インドネシア
✔二国間取決めを行っていない国でも、送出し国政府の公的機関からの推薦状があれば受け入れは可能です。実際にヨーロッパや南米から働きにきている技能実習生がいます。
しかし送出し政府任せの送出し機関なので、適格性があるかどうか判断が難しいところです。
✔また、二国間取決めを行った国からの受け入れは、送出し国政府が認定した機関以外からの送出しは認められていません。
技能実習生の数と各国の送出し機関
技能実習生の数
入管の在留外国人統計表(2021年7月更新)によると、
総数 371,798人(企業単独型(6,402人)を除く)
総数 | 技能実習1号 | 技能実習2号 | 技能実習3号 | |
ベトナム | 207,068 | 41,294 | 144,784 | 20,990 |
中国 | 62,145 | 10,666 | 45,755 | 5,724 |
フィリピン | 30,190 | 4,573 | 20,468 | 5,149 |
インドネシア | 33,615 | 7,800 | 22,838 | 2,977 |
ミャンマー | 13,764 | 3,439 | 8,916 | 1,409 |
タイ | 10,351 | 2,508 | 6,549 | 1,294 |
カンボジア | 9,949 | 2,725 | 5,934 | 1,290 |
モンゴル | 2,305 | 771 | 1,405 | 129 |
スリランカ | 814 | 233 | 529 | 62 |
ラオス | 515 | 112 | 345 | 58 |
ネパール | 434 | 118 | 274 | 42 |
バングラデシュ | 210 | 84 | 114 | 12 |
インド | 204 | 50 | 154 | 0 |
ウズベキスタン | 65 | 57 | 8 | 0 |
キルギス | 51 | 21 | 30 | 0 |
マレーシア | 47 | 15 | 27 | 3 |
ペルー | 39 | 7 | 28 | 4 |
ブータン | 18 | 0 | 12 | 6 |
パキスタン | 6 | 3 | 3 | 0 |
※上の表は監理団体型のみの人数になります。
赤字は日本政府と二国間取決めを行った国です。技能実習生のほとんどは二国間取決め作成国であることがわかります。
中国は技能実習生数が2番目に多いですが、新規受け入れ人数は減少傾向です。自国の経済発展が背景にあります。
よく聞く国(ベトナム、中国など)以外からでも技能実習生の受け入れをしていることがわかります。
各国の文化や風習を調べ、自社にあった国から技能実習生の受け入れをすると良いと思います。
各国の送出し機関の数
送出し機関数 | |
ベトナム | 471 |
ミャンマー | 253 |
インドネシア | 149 |
フィリピン | 104 |
カンボジア | 94 |
スリランカ | 68 |
タイ | 54 |
ウズベギスタン | 53 |
モンゴル | 52 |
ネパール | 50 |
インド | 31 |
バングラデシュ | 19 |
パキスタン | 3 |
ブータン | 1 |
送出し機関の数と技能実習生の数の比率はまったく異なります。
ミャンマーやカンボジア、スリランカには多くの送出し機関がありますね。
バングラデシュやブータンは、送出し機関の数も少ないです。
外国人技能実習機構には、認定を取り消された機関も掲載されています。
フィリピンはかなりの数の送出し機関が取り消しされており、認定をもらっただけでは油断できない事が伺えます。
(過去に認定されていた機関についてこちらから確認することができます。)
ここで注意してほしい点は、二国間取決めが行われた国だからといって、全ての送出し機関が良いとは限らない点です。日本の監理団体同様、悪質な送出し機関は存在します。
事業所が外国になるので、日本から適否を判断することが難しい現状です。
次に送出し機関をどのように見極めればよいのかについてまとめていきます。
送出し機関の選び方
まず受け入れ企業が送出し機関を選ぶことは基本的にはしません。
監理団体は受け入れ企業毎に送出し機関を選ぶわけではなく、日ごろから付き合いのある送出し機関を利用するからです。
ここで重要なポイントは送り出し機関よりもより良い監理団体(受け入れ機関)を探すことです。
良い監理団体を見つけた際に送出し機関について聞くと良いでしょう。
具体的に送出し機関についてどのような項目をチェックするべきか記載しておきます。
✔実習生から不当な手数料や保証金を徴収していないか
実習生が負担する費用について聞いておきましょう。また面接時に過度な接待を受けた場合は注意が必要です。
✔現地担当者の日本語能力が高いか
自社の業務内容などが候補者にきちんと伝わっていなければ、実習が始まってからトラブルになる恐れがあります。
✔日本語教育をきちんと行っているか
日本語だけでなく日本の文化や風習についても理解させているかがポイントです。
✔送り出した後も実習生の相談などのサポートを行っているか
以上ような点を確認しておきましょう。
さいごに
今回は送り出し国と送出し機関についてまとめました。
送り出し国の選択で大切は事は「自社と相性の合う国なのか?」、送出し機関の選択で大切なことは「信頼できる監理団体(受け入れ機関)とマッチすること」になります。
監理団体は複数の送出し機関と契約している場合もあるので、しっかりアドバイスもらいながら送出し機関を選びましょう。
その他にもご相談があればお気軽にお問い合わせください。