今回は「漁業」での特定技能外国人の受け入れ方法や費用についてまとめました。
在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく制度です。
「漁業」分野では、派遣形態でも外国人を雇うことができ、繁忙期と閑散期で人材を調整できるメリットがあります。
これまでの漁業
漁業分野ではこれまで人手不足解決のため様々な対策を行っています。
生産性向上のための取組として、適切な資源管理措置の下で、新たな揚網システムやフィッシュポンプの導入等生産性の高い漁船の導入、海洋観測ブイや衛星情報の活用による海洋環境の迅速な把握、AⅠを活用した漁場形成予測による漁場探査の効率化等、最先端技術の開発、実装などによる生産性の向上に取り組んでいます。
また、国内人材の確保に関しても、沿岸漁業や養殖業を中心に女性・高齢者等の多様な国内人材の活用が進むとともに、農林水産省では、補助事業等により、漁業就業相談会や漁業体験、長期研修、次世代人材投資、経営技術向上支援等の業界の取組を支援しています。
しかしながら漁業分野における就業者は、平成10 年に 27 万 7,000 人であったものが平成 29 年には 15 万 3,000 人とおおむね半減しており、有効求人倍率は、漁船員 2.52 倍、水産養殖作業員 2.08 倍と深刻な人手不足の状況にあります。
漁業分野の雇われ就業者の約2割を占める 65 歳以上の熟練の高齢労働者が順次引退していくことから、今後も人手不足の深刻化が見込まれます。
「特定技能」外国人ができる業務、作業について
従事する業務内容について
特定技能外国人が従事する業務は、漁業と養殖業です。
※但し漁業の試験合格者や技能実習修了者が養殖業の業務を行う事はできません。養殖業も同様に漁業を行えません。業種を変更したい場合はそれぞれの技能試験に合格する必要があります。
あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務、漁業の場合(例:漁具の積込み・積下し、漁獲物の水揚げ、漁労機械の点検、船体の補修及び自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等)、養殖業の場合(例:梱包・出荷及び自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等)に付随的に従事することは差し支えないとされています。
また、水産加工業は飲食料品製造業に含まれますので、詳しくは下記リンクをご参考にして下さい。
飲食料品製造業で「特定技能」外国人を雇用する方法
就業の条件
・直接雇用
この制度でいうフルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であり、週労働時間が30時間以上であることになります。
・労働者派遣雇用
漁業分野では、同じ地域であっても、対象魚種や漁法等によって繁忙期・閑散期の時期が異なるとともに、漁業経営体の多くが零細で半島地域や離島地域などに存在していること等の特性があり、地域内における業務の繁閑を踏まえた労働力の融通、雇用・支援の一元化といった漁業現場のニーズに対応するため、 漁業分野の事業者による直接雇用形態に加えて、労働者派遣形態により1号特定技能外国人を受け入れることが可能です。
漁業で「特定技能」外国人として働くためには
漁業で「特定技能」外国人として働くためには「特定技能(漁業)」を取得するための次のいずれかの条件を満たさなければなりません。
〇「漁業」または「養殖業」の第2号技能実習を修了する
または
〇①漁業特定技能1号技能測定試験
技能試験は一般社団法人大日本水産会が運営しています。
②日本語能力試験(JLPT N4以上)もしくは 国際交流基金日本語基礎テスト
(JFT-Basic)
日本語能力試験(JLPT N4)の日本語能力水準はある程度日常会話ができ、生活
に支障がない程度の日本語能力を確認するとされています。試験方法はマーク
シート方式で年に2回(7月、12月)に各都道府県で開催されています。
国際古流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)もJLPTと同水準の日本語能力を確
認するための試験です。CBT方式の試験で開催スケジュール等は独立行政法人
国際交流基金のHPより確認できます。
詳しい内容はこちらから
①、②の試験に合格する必要があります。
「特定技能」外国人を雇用する条件
1⃣漁業特定技能協議会への加入
漁業特定技能協議会は漁業分野における特定技能制度の適切な運用図るために設置された機関です。
各受け入れ企業は1人目の特定技能外国人の在留資格が許可された日から4ヵ月以内に協議会へ加入する必要があります。
2⃣制度で定められた支援の実施
特定技能外国人を受け入れるには法律で定められた支援を行う体制を構築するか、支援内容の一切を「登録支援機関」に委託する必要があります。
「特定技能」外国人を雇用する場合の費用
特定技能外国人の給与については同職種に従事する日本人と同等以上とされています。
加えて、在留資格申請費用や登録支援機関に支援を委託する場合には支援委託費用も発生します。
技能実習生の監理団体や士業事務所、人材会社など様々な機関が登録支援機関の登録行っており金額もバラバラな現状です。特定技能外国人の雇用が初めてであれば様々な機関で話を聞くことおすすめします。
まとめ
「漁業」の「特定技能」外国人について理解できましたか?
漁業分野と農業分野では労働者派遣雇用が認められているのが特徴でした。
派遣に強い登録支援機関もあるので、海外人材の雇用を検討している漁業事業者の方も積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
繁忙期・閑散期に必要な人材を必要な期間だけ派遣雇用できるのは、漁業事業者の方にはかなりのメリットになります。