外食業分野における有効求人倍率は全産業平均に比べると極めて高く、外食業を含む「宿泊業、飲食サービス業」の欠員率は6.1%と全産業(2.7%)の2倍以上の水準になっています。
新型コロナウイルスの影響により一時的に採用需要は冷え込んでいますが、中長期的にみると外食分野の人手不足は今後も問題となるでしょう。
更には、増加するインバウンド等への対応が求められる中で、手作り感やホスピタリティといった外食業ならではの価値を作り出すことが求められます。臨機応変に作業内容を変える場面があったりと機械化による省略化にも限りがあり、外国人を含め必要な人材を確保していくことが重要となります。
これまでの外食業分野
外食業の外国人労働者数 ※飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業の合計
約18.4万人
在留資格別の構成比
永住者を除くと、ほとんど留学生のアルバイトや家族帯同の方、外国料理の調理師などになります。
留学生のアルバイトや家族帯同の方は、働ける時間に上限がありますし、外国料理の調理師などは在留資格の取得が非常に困難であるため、外食業分野での外国人の就労は非常に難しいものでした。
「特定技能」外国人ができる業務、作業について
就業場所について
外食業分野の特定技能外国人は飲食店、持ち帰り飲食サービス業、配達飲食サービス業、給食事業等の飲食サービス業を行っている事業所で働くことができます。
例:食堂、レストラン、料理店、喫茶店、ファストフード店、テイクアウト専門店
(店内で調理した飲食料品を渡すもの)、宅配専門店(店内で調理した飲食料
品を配達するもの)、仕出し料理店など
※よく外食業分野と飲食料品製造業分野のどちらに該当するかわからないと言われることがあります。この場合の基準としては業務に「配膳」があるかどうかで決まります。例えば介護施設で給食を作るのみの場合は飲食料品製造業分野、給食を作り配膳の作業まで行う場合は外食業分野に該当します。
従事する業務内容について
特定技能外国人が従事する業務は、外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)です。
あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(店舗において原材料として使用する農林水産物の生産、店舗における物品の販売等)に付随的に従事することは差し支えないとされています。
就業の条件
特定技能外国人の雇用は直接雇用とし、フルタイムで業務に従事する必要があります。
(この制度でいうフルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であり、週労働時間が30時間以上であることになります。)
外食業で「特定技能」外国人として働くためには
外食業で「特定技能」外国人として働くためには「特定技能(外食業)」を取得するための次のいずれかの条件を満たさなければなりません。
〇「医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を修了する
※「医療・福祉施設給食製造」の技能実習は、平成30年11月16日に職種追加さ
れたため、現時点では、第2号実習修了者はいません。
または
〇①外食業特定技能1号技能測定試験
技能試験は一般社団法人外国人食品産業技能評価試験(OTAFF)が運営してい
ます。
試験の内容は「食品衛生に配慮した飲食物の取り扱い、調理及び給仕に至る一連
の業務を担い、管理することができる知識・技能を確認する。また、業務上必要
な日本語能力水準についても確認する。」とされています。
②日本語能力試験(JLPT N4以上)もしくは 国際交流基金日本語基礎テスト
(JFT-Basic)
日本語能力試験(JLPT N4)の日本語能力水準はある程度日常会話ができ、生活
に支障がない程度の日本語能力を確認するとされています。試験方法はマーク
シート方式で年に2回(7月、12月)に各都道府県で開催されています。
国際古流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)もJLPTと同水準の日本語能力を確
認するための試験です。CBT方式の試験で開催スケジュール等は独立行政法人
国際交流基金のHPより確認できます。
詳しい内容はこちらから
①、②の試験に合格する必要があります。
「特定技能」外国人を雇用する条件
1⃣食品産業特定技能協議会への加入
食品産業特定技能協議会は飲食料品製造業及び外食業における制度の適切な運用図るために設置された機関です。
各受け入れ企業は1人目の特定技能外国人の在留資格が許可された日から4ヵ月以内に協議会へ加入する必要があります。
2⃣制度で定められた支援の実施
特定技能外国人を受け入れるには法律で定められた支援を行う体制を構築するか、支援内容の一切を「登録支援機関」に委託する必要があります。
「特定技能」外国人を雇用する場合の費用
特定技能外国人の給与については同職種に従事する日本人と同等以上とされています。
加えて、在留資格申請費用や登録支援機関に支援を委託する場合には支援委託費用も発生します。
技能実習生の監理団体や士業事務所、人材会社など様々な機関が登録支援機関の登録行っており金額もバラバラな現状です。特定技能外国人の雇用が初めてであれば様々な機関で話を聞くことおすすめします。
まとめ
「外食業」の「特定技能」外国人の採用は人手不足の企業にとってかなりメリットのある制度です。
技能実習生を受け入れしたくてもできなかった企業、留学生などの時間に制限がある外国人を雇用していた企業にとって「特定技能」の制度は長期的にも戦略を立てやすい採用方法になります。
企業と外国人の双方が幸せになれるよう祈っております。