宿泊業で「特定技能」外国人を雇用する方法

宿泊業で「特定技能」外国人を雇用する方法

今回は「宿泊業」での特定技能外国人の受け入れ方法や費用についてまとました。

在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく制度です。

これまでの宿泊業


令和元年の訪日外国人旅行者数は3,188万人であり、10年前と比較すると約4.7倍となっています。
2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、旅行者の人数はかなり減少していますが、政府は2030年に6,000万人の訪日外国人旅行者の訪問を目指しています。

訪日外国人旅行者数の増加に伴い、その延べ宿泊者数も令和元年からの過去5年間で約2.5倍の増加になっており、宿泊需要の増大への対応が必要になっています。


また、宿泊業の人手不足は単に旅行者が増えただけではありません。

若者の間で宿泊業を含むサービス業の人気は低下しています。

ホテルの仕事は365日休みがなく、世間の大型連休の時期が繁忙期になります。連休も取りにくく夜勤などもあるため離職率が高いです。
また他の業種に比べ給料は低い水準にあります。

平成29年度の宿泊分野における有効求人倍率

職業分類(小分類)有効求人数有効求職者数有効求人倍率
旅館・ホテル支配人6,311人2,794人2.26
飲食物給仕係924,027人128,972人7.16
旅館・ホテル・乗組接客員223,721人55,859人4.01
合計28,997,798人187,625人6.15
観光庁「観光や宿泊業を取り巻く現状及び課題等について」参照


この年の全職業合計の有効求人倍率は1.38倍であったことを考えると、宿泊業の人手不足がいかに深刻であるか分かると思います。


「特定技能」外国人ができる業種、業務について

従事する業務内容について


宿泊分野において受け入れる1号特定技能外国人が従事する業務は、技能試験合格により確認された技能を要する宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務を行う事が可能です。


あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:館内販売、館内備品の点検・交換等)付随的に従事することは差し支えないとされています。

※特定技能外国人に対して風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。

就業の条件


直接雇用

宿泊業で「特定技能」外国人として働くためには


宿泊業で「特定技能」外国人として働くためには「特定技能(宿泊業)」を取得するための次のいずれかの条件を満たさなければなりません。

「宿泊」の第2号技能実習を修了する

 ※「宿泊」の技能実習は、令和2年2月25日に職種追加されたため、現時点で
 は、第2号実習修了者はいません。
 

または


〇①宿泊業特定技能1号技能測定試験 

 技能試験は一般社団法人宿泊業技能試験センターが運営しています。
 
 この試験は、フロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の様々な業
 務について、定型的な内容であれば独力で実施できることを求めることとしてお
 り、これらの業務に係る技能・知識を確認することとしています。

 試験合格者は、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な
 知識や経験を有するものと認められます。

 詳細はこちらから

 ②日本語能力試験(JLPT N4以上)もしくは 国際交流基金日本語基礎テスト
  (JFT-Basic)

 日本語能力試験(JLPT N4)の日本語能力水準はある程度日常会話ができ、生活
 に支障がない程度の日本語能力を確認するとされています。試験方法はマーク
 シート方式で年に2回(7月、12月)に各都道府県で開催されています。
    
 国際古流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)もJLPTと同水準の日本語能力を確
 認するための試験です。CBT方式の試験で開催スケジュール等は独立行政法人
 国際交流基金のHPより確認できます。

 詳しい内容はこちらから

①、②の試験に合格する必要があります。  

「特定技能」外国人を雇用する条件 


1⃣宿泊分野特定技能協議会への加入   

宿泊分野特定技能協議会は宿泊業における制度の適切な運用を図るために設置された機関です。
各受け入れ企業は1人目の特定技能外国人の在留資格が許可された日から4ヵ月以内に協議会へ加入する必要があります。


2⃣制度で定められた支援の実施   

特定技能外国人を受け入れるには法律で定められた支援を行う体制を構築するか、支援内容の一切を「登録支援機関」に委託する必要があります。
  
 

「特定技能」外国人を雇用する場合の費用


特定技能外国人の給与については同職種に従事する日本人と同等以上とされています。

加えて、在留資格申請費用や登録支援機関に支援を委託する場合には支援委託費用も発生します。

技能実習生受け入れ支援団体や士業事務所、人材会社など様々な機関が登録支援機関の登録行っており金額もバラバラな現状です。
特定技能外国人の雇用が初めてであれば様々な機関で話を聞くことおすすめします。

まとめ


「宿泊業」の「特定技能」外国人について理解できましたか。
2019年に始まったばかりのこの制度ですが、現在、全国で「特定技能」外国人の数は増え続けています。

宿泊業分野では、技能実習制度も始まったばかりです。
企業にとってどちらの制度が扱いやすいのかよく考えてみましょう。

新型コロナウイルスの影響によりダメージを受けているホテルや旅館は大変多いと思います。
しかし、コロナウイルスが収束したとなれば止まっていた人手不足問題も加速していくことでしょう。
今の内から外国人の採用を考えてみてはいかがでしょうか。

注意すべき点は登録支援機関の認定自体は簡単にできてしまうところです。
「特定技能」外国人の採用を決め、登録支援機関を選ぶ際はしっかり情報を収集しましょう。

外国人材についてお気軽にご相談ください

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